疫学Q&A 第13回 ~スクリーニングについて(その2)~

【問 題】
 スクリーニングに関する説明について、正しいものの組み合わせはどれか。

a. 敏感度(感度)が高い検査は、偽陽性となる個体が少ない検査である。
b. 特異度は、疾病に罹患していない個体のうち、検査の結果陰性となる個体の割合である。
c. 真の有病率が高い集団のスクリーニングにおいては、陰性反応的中度は高くなる。
d. カッパ係数によって複数の検査の一致度合いが評価できる。
e. ROC曲線は,敏感度(感度)を縦軸に、特異度を横軸にして描かれた曲線である。

1. aとc   2. bとc   3. bとd   4. cとd   5. aとe

【答 え】  3.

a.
敏感度が高い検査は偽陰性が少ない検査である。
b.
正しい。
c.
真の有病率が低い集団のスクリーニングにおいて、陰性反応的中度は高くなる。
d.
正しい。
e.
ROC曲線の横軸は1-特異度として描かれる。

【解 説】
検査の妥当性を示す指標は各種知られている。敏感度は、検査の結果、真に罹患している個体を正しく陽性と判定する個体の割合で、特異度は検査の結果、真に罹患していない個体を正しく陰性と判定する個体の割合である。敏感度と特異度が100%の検査法はほぼ存在せず、敏感度を上げようとすると特異度が下がり、特異度を上げようとすると敏感度は下がることが知られている(トレードオフ)。また、検査陽性個体のうち、真に罹患している個体の割合を陽性反応的中度、検査陰性個体のうち、真に罹患していない個体の割合を陰性反応的中度と呼び、それぞれ陽性結果、陰性結果の信頼度と考えることができる。カッパ係数は二つの検査の一致の度合いについて、偶然の一致の確率を除いて評価するための指標として用いられている。ROC(受診者動作特性)曲線は、ELISA値など、量的な数値として結果が得られる検査について、至適な敏感度と特異度を設定するために用いられたり、プロットした曲線下の面積を算出して複数の検査の精度の比較に用いられたりする。
スクリーニングについてのより詳細な説明や実例については、獣医疫学会編「獣医疫学-基礎から応用まで-〈第二版〉」(近代出版、ISBN978-4-87402-179-8)の94~101頁を参照されたい。


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